クロバラノワルキューレ_レビュー・感想

未だに一本も完成できていない奴がいうのもどうかと思いますが、
ゲーム作りには"ゲーム"を知ることも重要だと考えています。

そこで常日頃から現実逃避のためゲームの勉強のため、
様々なゲームを遊ぶことを心がけています。

お金と時間の兼ね合いもあるで全部は無理ですが、
好きなゲームだけじゃなく、スマホの広告で出てくるゲームや
有名なゲーム、世間でクソゲーと呼ばれているゲーム等々…


その中でも、面白く感じられなかったゲームについて、
頭の中を整理するためにレビューと感想を綴っていきます。

今回レビューするのはPS Plusでフリープレイとして配信されていた
「クロバラノワルキューレです。
www.compileheart.com

このゲームは関係者がコネを使って親しいコスプレイヤー
声優に起用し、あまりにも下手すぎてネットで炎上していました。

そのため、公式のパッチでキャラ個別のボイスオフ機能が実装されたようです。私は「これもゲームの味だ。」と思って使ってませんが…

※3章(序盤か中盤?)まで遊んだ時点での感想です。
※3章以降をプレイすることで多少変わるかもしれません。


概要・評価点・不満点・総合評価の順で見ていきたいと思います。

概要

・ストーリー

1929年、人・獣問わず罹患するとキメラと呼ばれる怪物になるウイルス、キメラウイルスが世界中にパンデミックを引き起こした。そんな中、鎖国という方法でパンデミックを抑え込んだシンヤマト帝国。
さらにシンヤマト帝国はキメラ殲滅のため対キメラ組織ACIDを結成。
主人公の白峰アサヒはACIDの特殊部隊ワルキューレの隊長となってキメラ討伐を遂行していく。しかしある日、キメラ化の制御による人類の進化を目的とする謎の組織と遭遇。しかも、死んだと思われていたワルキューレ隊隊員の関係者が組織に属していることが判明…。
果たしてどのような運命がアサヒとワルキューレ隊を待ち受けているのか…

・基本システム

基本的には
①基地で任務を受注して出撃
②フィールドやダンジョンを探索。
 シンボルエンカウント方式で、戦闘をこなしつつ目標を達成。
③基地に戻って隊員と交流
を繰り返す。

隊員との交流には選択肢が存在し、適切な選択肢を選ぶことで仲良くなることができる。好感度は戦闘には関係なく、最後のエンディング分岐に関係するらしい。また、フィールドやダンジョンには昼夜や月齢があり、夜はキメラが強くなったり、特定の月齢の時しか出現しないレアキメラがいる。

・戦闘

戦闘はスピードによって行動順が決まるコマンド式。
素早さの高いキャラは行動ゲージがたまるのが速く、ほかのキャラより多く行動することも可能。
攻撃方法は
・敵の行動ゲージを少しだけ止めるコンボ攻撃(通常攻撃)
・敵の行動ゲージを減少させるチャージ
・強力な威力を持つがAP(MPのようなもの)を消費するアーツ
がある。

敵には炎や銃撃に弱いといった弱点が設定されているため、敵や味方の行動ゲージを操り、適切な攻撃方法を用いることで敵を撃破できる。

評価したい点

・ストーリー

ストーリーは悪くはないと思いました。少なくとも「明らかにキャラや流れとそぐわない行動をとる」みたいなのはなく、すごくつまらないとか不快になることはありませんでした。良くも悪くも王道のようなので、この辺は人によると思います。

・基本システム

月齢や昼夜によって出現するキメラが違い、その部分は面白いと思います。ただ、基本的には夜の方がキメラが強く、レアキメラや任務で戦うことになる中ボスも夜しか現れません。なので、朝に戦闘するメリットはあまりなく、時間を夜に戻すといった労力が面倒でした。

・戦闘

少し違いますが、Idea Factoryさん・コンパイルハートさんのフェアリーフェンサーエフ日本ファルコムさんの閃の軌跡に似ており、戦闘システムは理解しやすかったです。武器や敵の弱点に属性が設定されており、
打撃・剣・銃撃・スナイパー・ミサイル 
× 炎・氷・雷・衝撃・無属性
の適切な組み合わせを持つキャラで攻撃するというコンセプトや、キャラが8人に自由にパラメータを振れるので、どのキャラにどの属性を特化させようかという選択肢をプレイヤーに与えようという試み・意気込みは感じられました(できてるかどうかは別)。
あと、私はグラフィックにあまりこだわらないので万人が評価するかどうかはわかりませんが、戦闘シーンやモデルの動きはキチンとしていたと思います。

・面談システム

このゲーム、推理要素もあります。3章までだと「主人公の部屋のプリンを食べたのは誰だ?」程度の軽いものですが、公式サイトを見るに「裏切り者は誰か?」というエンディングに関わる場面で使われるようです。戦闘と会話だけでは正直飽きるので、個人的には面白い息抜きになってよいと思いました。

悪かった点

ここからが本題です。一言でいうと、開発側がシステムに取り入れた部分がどれも中途半端で詰めが甘いというのが不満点です。

・戦闘を避けづらい

フィールドではシンボルエンカウントで、操作キャラが攻撃されると敵に先制をとられ、攻撃が成功すると戦闘で先制できます。
しかし、操作キャラの攻撃判定時間がわずかで範囲も短く、空振りしやすいため、相手に先制を取られることが多いです。いやらしいのは、攻撃が当たらない場合、敵キャラは一瞬止まってから再度動いて攻撃されます。つまり確実に先制攻撃範囲に敵キャラが入った時に攻撃しなくてはなりません。敵キャラの当たり判定もわかりづらいので、非常にイライラします。
加えて、小さい敵キャラはたまに白眼の使い手のように周囲300度くらい見えている奴がいます。動きも早いため、こういうのに見つかったら接敵するのはほぼ確実です。大きいキャラはこちらを見つける範囲が広く、必ずといっていいほど操作キャラを追ってきます。大きい奴に限って、狭い道で6体くらい湧くので、見つからないようにうまく間を通らなければなりません。狭いダンジョン内ではこれがもっと厳しくなり、道を塞ぐこともあります。さらに、大きな敵は倒してもすぐにその場でリスポーンすることがあるため、再度戦闘する羽目になります。リスポーンは1回だけとは限らず、通りたければ何度も戦闘するか、諦めてダンジョンを抜けて再チャレンジするしかありません。

対向する手段は以下の通りです。
①ゆっくり近づいて、先制攻撃を仕掛ける(小さい敵は、見つけてもすぐによってこないこともある。ただし、背を向けると、素早く先制攻撃されてアウト)。
②障害物を挟むと追ってこないor攻撃してこないので、うまく使って先制攻撃をする。
③敵が動ける範囲外まで逃げ切れることを祈って全力ダッシュ
④戦闘後、数秒は無敵時間(見つからない)があるので、最低限の敵だけ倒して逃げる。
⑤敵との接敵を避けるアイテムを使う。ただし、希少なうえ、道を完全に塞がれた場合は通ることすらできない。

・戦闘が面白くない

敵が避けにくいうえに、戦闘もあまり面白くないです。不満点をまとめると、
①敵が堅い・数が多い
②武器属性の多さやパラメーター振りの自由度に意義を感じられない

1つずつ見ていきましょう。

①敵が硬い・数が多い
まず、敵は体力が多く、無駄に硬いです。このゲームは同レベルだと雑魚的ですら無駄に多い体力と攻撃力をもってるので、1ターンで倒さなければならず、APを消費する強力なアーツ攻撃を毎回使用することになります。ですが、AP回復アイテムは決して安くないうえ、戦闘で手に入るお金も多くはありません。。そのため、武器や新しい装備を買うお金を貯めるのに非常に時間がかかります。オート戦闘は可能ですが最適解で攻撃してくれるわけではないので、常にアーツを使う都合上、稼ぐためには2,3回戦闘してダンジョンを出る、という時間を浪費する場面が多いです。一方、連携アーツはAPの消費こそ多いものの、強力すぎます。ボスも全員で連携アーツ連打すれば1ターンで倒せるくらい強いです。このシステムなら、様々な通常アーツをつかって敵の体力を減らし、最後は強力な技でとどめをさす、というほうが楽しいと思うのですが…。せめて、覚醒状態の時だけ使えるとか、制限を付けたらよかったとも思います。

2つ目、数が多い。数が多くなると雑魚敵も非常に厄介です。このゲームには前衛と後衛があり、後衛に攻撃するためには先に前衛を倒すか十分な射程を持つアーツを使うしかありません。なので1ターンで倒すのは難しく、APも大きく消費するので、同レベルのダンジョンでは接敵せずに先に進むのが最適解です。しかし、接敵しないことの難しさは上で述べたとおりです。ボスと一緒に出現する取り巻きも中ボス程度の強さを持ち、非常に厄介です。スキルを使って、こちらの後衛を一撃で粉砕したり、状態異常にされて、3ターン行動できなくなったりします。ボスが強いなら理解はできるのですが、基本的には数で押してくる取り巻きが厄介なので、結局、連携アーツを1ターン目で繰り出して、速攻排除を狙うのが最適解だと思います。取り巻きが消えたら、ボスだけの消化試合になります。
また、アディショナルアタックという、敵のガードゲージを減らすと味方が追撃してくれることがあるのですが、多くの場合、体力0のザコ敵に無駄に追撃しているだけなので、キャラが動いているのを眺めるだけです。ボスの場合、ガードゲージが固く、アディショナルアタック自体の威力もそれほど高くはないので、結局連携アーツ連打が最適解だな、となってしまいます。


②武器属性の多さといった自由度が逆にとっつきにくい
武器属性は打撃・剣・銃撃・スナイパー・ミサイルの5つ × 炎・氷・雷・衝撃・無属性の5つ、理論上は25通りの組み合わせがあります。しかし、衝撃や無属性攻撃ができるのはミサイルのみです(3章時点)。あと、1人だけ近距離攻撃なのにスナイパー属性がある、ミサイル攻撃が不得意なキャラも無駄にミサイル攻撃を覚えてコマンド選択時に面倒、同じ射撃攻撃でもガトリングとアサルト、ショットガンに分かれている、能力がアップする覚醒状態がなぜか2段階にわかれる等々、できることは多いがとっつきにくく、無駄に感じる要素が多かったです。
近接攻撃の属性は固定なのに、全キャラ、スナイパーとミサイルは装備できます。普通に、スナイパーとミサイルと銃撃のカテゴリに入れてはダメだったのでしょうか?戦闘の効率が悪いだけなので、不得意なキャラにスナイパーを使わせる意味が理解できませんでした。格闘と銃撃と防具+体力上昇のようなサポートパーツの4つにとどめるべきだったと思います。

あとは細かい点ですが、そこまで大したグラフィックでもなさそうなのにフィールドで処理が遅くなることがある、平原ではカメラが突然真上からの視点になる、服が破れる要素の存在意義がわからない(コンパイルハートさん・Idea Factoryさんが製作したアイドルが戦うゲームも同じシステムがありましたね)等々が少しマイナス評価になります。

総合評価

点数:10点中3点

私のゲームの腕前が下手なだけかもしれませんが、要素が無駄に多いだけで、接敵や戦闘などのシステムに中途半端な部分が多く、遊ぶのではなく時間を浪費するだけになっている部分が多かったです。面倒なので私は、主人公の格闘攻撃に貯めたポイント集中させて、速攻撃破することにしました。もっとシンプルにして、その分システムの洗練に時間を費やしていれば、組み合わせを考えることができて、面白く遊べたような気がします。
また、ゲームの評価に関係はありませんが、コスプレイヤーが声優を務めたキャラだけ、近接がスナイパー属性(優遇?)なのも下衆の勘繰りをしてしまいます。

ただ、それ以外のストーリー等に不満はなく、まったく遊べないわけではないので、その部分を加味して3点としました。
同社が開発したゲームにフェアリーフェンサーエフがありますが、そのシステムを流用し作った方が手間も労力もかからず、洗練された面白いゲームになる気がします。