今回のレビューは
映画ボーダーランズ(Borderlands)です。
klockworx-v.com
※映画のネタバレ注意
※一部にゲームのネタバレや映画スーサイドスクワッドのネタバレも含みます。
レビューの前に
突然ですが、私はゲームのボーダーランズが大好きです。プレイのきっかけはボーダーランズ1のゆっくり実況を見たことですが、
- 敵や宝箱から億通りの武器を入手できるハックアンドスラッシュ
- キャラ1人に対して、3通りの成長ビルド
- アメコミに近い描写やサイコを代表とするヒャッハーな作風
- 最大4人で協力して遊べるゲーム
といった点が非常に刺さりました。ボーダーランズ1をレビューしたら、個人的な思い入れもかなり入って、10点満点中10点を付けます。
大好きな作品なので、もちろん、ボーダーランズ2もプリシークエル(1.5にあたる外伝作品)も3もプレイしました。今年発売するであろう4も買う予定です。
まあ、3はエヴァをはじめとするキャラの動向や関連するストーリー展開がクソですし、全体的に敵が固いなあと思うところがあったので、人におススメしにくいですが、それでも私はボーダーランズが大好きです。
そんな私の大好きなボーダーランズですが、映画化されています。しかしこの映画、批評家や映画サイトでも酷評されており、ニュースになるくらい悪い意味で評判になりました。
また、ゴールデンラズベリー賞にノミネートされているようです。
theriver.jp
他の感想サイトでも、「ゴールデンラズベリー賞のノミネートは当然」みたいな論調で評価しているものが見られました。
プライムビデオで配信されていたので、私も興味本位で見てみましたが、結論から言うと、「ナンバーワンクソ映画と断言するほど悪いか?」というのが私の正直な感想です。
本記事でアウトプットすることで、自分の思いを昇華しようと思います。
概要
・あらすじ
賞金稼ぎのリリスは、アトラスの行方不明の娘の捜索依頼を受け、パンドラに戻ってきた。
そして、うざいロボット(公式設定)クラップトラップ、傭兵ローランド、爆弾魔少女タイニー・ティナ、となんやかんやでチームを組み、パンドラの秘密に迫っていく...
良い点
・ゲームの世界を再現できている!
※登場人物やストーリー展開は除きます
登場人物から目をそらして、惑星パンドラの荒野であったり、モンスターなんかに注目すると非常によくゲームを再現できていると感じます。
特に序盤、ゲームに即したかのようなバスの描写やバスの運転手であるマーカスの言動あたりはとてもよくできていて、「この調子でいけば、全然悪くないじゃん!」と思ってました。
その前の、バーでリリスが依頼を受ける場面は「雰囲気とかがなんか思ってたのと違う」って感じでしたが...
・クラップトラップがちゃんとウザイ!
クラップトラップは鬱陶しいロボットとして描写されています。ゲーム内だとパーティ開いたのに、親しい人は誰も参加してくれなかったりと基本嫌われロボットです。一方で、プレイヤーからはウザかわ的なマスコットキャラとして愛されていますが。
そんなクラップトラップのウザさに関してはきっちり再現されていると思います。最低スクリーンコンボ賞を受賞したとのことですが、公式でウザいキャラ設定なので、予定調和受賞な気がしますね。
・日本語吹き替えの声優がゲーム準拠!
私はあまり作品の声に注目するタイプではないのですが、日本語吹き替えの声優はおそらくすべてゲーム準拠になっています。ゲームの声で映画を聴けるのは、なんかゲーム世界を再現したみたいでちょっと感動しました。
悪かった点・微妙な点
・ストーリーが退屈
ストーリー自体は仲間が(勝手に?)集まって、パンドラの秘密に迫っていくというものなのですが、ところどころ退屈に感じてしまいました。
ストーリーが悪いというより、全体的に場面描写のやり方が悪いのかもしれません(詳細は後述)。
正直途中から、プログラムの勉強しながら見てました...
・全体的なコスプレ感
多分誰もが思ったのでしょうが、主人公をはじめとして「なんかこれ違う...」と思いました。年齢もそうですが、格好もコスプレみたいな感じがします。
邦画におけるマンガの実写化のように、ゲームの再現と実写のバランスをうまく取れていないような気がします。「じゃあ、どうすればいいの?」と聞かれたら、解決策を思いつかないのが難しいですが...
一般にこのようなコスプレ感ってどうしたらいいんでしょうかね?
個人的にマーベル映画や邦画のキングダム等は違和感がないように、うまくバランスがとれていたと感じるのですが。なぜバランスがとれていたのかと聞かれると、言語化・一般化が難しいですね。
ただ、少なくとも博士やリリスはもう少しゲームに準拠した若いキャストでよかったと思いますが...
でも、クリーグとその肉体戦は個人的に好きです。
・銃撃戦がチープ
ゲームのボーダーランズといえば、ハックアンドスラッシュで色々とユニークな武器が手に入るのが魅力でした。ユニークな武器が顕著だったのは、2からだったような気がしますが。リロードのために捨てた武器が爆発するとか。
また、スキルを使った戦闘も魅力です。異次元にワープしたり、自動攻撃するタレットを召喚したり、殴ることしかできないけど強化されたり、戦うロボットを召喚したり。
ゲームの場合、リリスならフェイズウォーク(異次元にワープ)、ローランドならタレット召喚のスキルを使います。
しかし、中盤まで武器やスキルに関して、そういう描写は一切ありませんでした(見逃しているだけかも)...
銃はデザイン以外は何の変哲もない普通の銃でしたし、スキルもリリスが終盤で覚醒してフェイズウォーク使うくらいでした。
登場した車や乗り物はゲームに準拠したものでしたが、肝心の銃撃戦の場面でボーダーランズの世界観が全く再現できていません。
属性もコロッシブ(腐食)っぽいものはでてきましたが、映画における爆発ドラムみたいなギミック程度の扱いでしたし...
スキルが描写されなかった理由としては、例えば序盤からローランドがタレット召喚のスキル使ったら「なんでタレットが召喚できるの使えるの?敵は使えないの?」みたいな疑問が生じるからなのかもしれません。さらに、CGとかのお金の問題もあると思うので、難しそうというのも理解できます。ただ、それらを考慮しても、銃撃戦が普通過ぎる...
ボーダーランズならもっとヒャッハー感というか、暴れている感が欲しかったのですが、ホラー映画やモンスターパニック映画にあるような普通の銃撃戦といった感じで、期待外れ感は否めなかったです。
せめて、敵からユニークな武器を手に入れるとか自作のユニークな武器を使うとかの描写があれば良かったんですが...
・ところどころにある現実味
サンクチュアリの住民、子供時代のリリスがヘリに載せられて母親と別れる場面、最後の決着、どれもこれも現実味が感じられ、ボーダーランズの世界観にそぐわないです。
まず、サンクチュアリの住民の外見は普通にニューヨークとかにいそうな人、もしくはちょっとコスプレしただけの人です。
原作を再現しているモクシィやスターウォーズみたいな兵士と住民の見た目の差が激しく、雰囲気が明らかにそぐわないです。
アニメのコスプレした人が田舎の村で聞き込みをしているのかと思ったくらいです。
また、リリスが母親と別れる場面はゾンビパニックものの場面と言われても納得できるくらい、ボーダーランズ感がないです。
ゲーム世界の再現なんだから、もっとゲームの世界に寄せてもいいのに...
さらに、最後の決着はバケモノと戦うわけではなく、普通にボスがバケモノに殺されて終わりです。
なんで、こんな決着に...
スーサイドスクワッド(1作目ではなく、2作目の方)では、最終的にバケモノと戦っていましたが、こちらの場面をそのまま持ってきた方がボーダーランズ感があった気がしますね。
総合評価
点数:10点中4点
まとめると、
- 全体的にボーダーランズの世界観にそぐわないチープさ
- チープさのせいで、「なんか違うな」という違和感が積み重なっていく
- ストーリーにもチープさのノイズが入り、面白みを感じられない(ストーリーが面白いかはまた別)
という感じです。
私は「ボーダーランズの映画」を求めていましたが、ゲーム世界の再現なのに現実味があるというか、コスプレ感(?)がノイズとなって、純粋にストーリーを楽しめなかったような気がします。
まあ、ストーリーもそこまで面白いわけではないんですが...
個人的に大好きなゲームの映画だったので、期待のハードルを大幅に下回ってしまった残念さ、というのもあります。
ただし、一応、王道ストーリーではあるので、もしもノイズがなければ、もしも演出を変えるなどができたらなら、悪くはない評価になったかもしれません(素人がたられば、を言ってもしょうがないですが)。
余談
この映画は2024年を代表するクソ映画か?について
※以下、映画の評価とは直接関係ないことを書き連ねています
この映画はゴールデンラズベリー賞にノミネートされています。しかし、ゴールデンラズベリー賞の受賞・ノミネート=2024年一番のクソ映画、というのは早計な気がします...
この映画を肯定するわけではないですが、「もっとひどい映画あるんじゃないか?」と。
気になったので、ゴールデンラズベリー賞のWikipediaを調べてみました。該当部分を引用します。
初期は正真正銘のB級映画が各部門受賞を独占することが多かったが、近年は、輝かしい実績があるにもかかわらずどうしようもない役柄を演じてしまった俳優や、前評判と実際の出来のギャップが著しい大作などが受賞する傾向にある。
この賞自体が一種のユーモア(洒落)であり、本当にくだらない、つまらない作品を選ぶ場合もあるが、一方で出来はよいが惜しい作品や、強烈なカリスマ性や異色性が強すぎて一般ウケしない作品に与えられることもあり、この受賞がきっかけで衆目を集め、意外によく出来た面白い作品として評価されることがある。
また、俳優に与えられる賞も、必ずしも酷い演技をした役者が受賞するわけではなく、第1回の『ジャズ・シンガー』で受賞したニール・ダイアモンドは同じ作品でラジー賞とゴールデングローブ賞を同時受賞している。
要するに、ひどい演技じゃなくても、女優賞なんかを受賞してしまうようです。
私は映画の演技の良し悪しが正直よくわからないのですが、ひどいと断言できる場面は見当たりませんでしたし、演技指導者や監督の責任等もあると思うので、「受賞=俳優が悪い」ではないと思います。
そう考えると、もしかしたら、純粋に「悪い評価」を受けているのは最低作品賞の部分だけかもしれませんね。
また、第45回ゴールデンラズベリー賞のWikipediaで最低作品賞の部分を見てみると、制作費に対する損失が理由なようです。
『ボーダーランズ』 - 巨額の製作費を投じたビデオゲーム原作の映画(英語版)でありながら、Rotten Tomatoesで90パーセントのマイナス評価を弾き出した大失敗作(推定1億ドル以上の損失を出している)。
損失を出してしまったことで受賞の理由にはなることは理解できました。しかし、残念な部分(想定したハードルを下回る部分)は多いですが、評価点ゼロと断言するのも難しいです...
2024年公開のクソ映画の具体例は思いつきませんが、少なくとも「この映画を象徴するかの如く突出したクソな部分」は見あたりませんでしたし。
もう少しラフな言い方をすれば、「ナンバーワンクソ映画は演技・演出・脚本がマイナス評価の突出したクソの中から決めたいよね!」って話です。
映画ボーダーランズは「世界観を再現した作品を作ろう!」という気概は小物やクリーチャーから伝わります。退屈な映画・面白くない映画という評価は肯定できますが、クソ映画ではないと思うんですよね。
クソ映画は視聴する側に多大な苦痛を与えてくる映画であるべきというか...
もう少し余談
映画ではないですが、私が今年プライムビデオで見た作品の中で、個人的面白くない作品ナンバーワンは「エスえす的 VTuber脱衣麻雀 inメタバース」でした。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0DD3XVLV4/ref=atv_hm_mys_c_4I2SRv_2_12
プライムビデオの時点でエロに期待できないことは誰しも予想できると思いますが、「3Dの脱衣技術(服とか動きの描写、物理演算等々)が今はここまでキレイにできるのか?すごい!」という感動を得たくて、私は見てみました。
しかし、
・麻雀の牌がワープする、手の形がおかしい等々、今の技術ならこんな感じだろうという予想通り
・プレイしているVTuberは一切しゃべらず、実況解説の人が最初から最後まで喋る
・解説の人のマイクにノイズが入っていて聞きにくい
といった感じでした。
私は視聴中、「技術面ですごいと感じられる部分がない。多分、Twitterで技術調べた方がマシ。」「ファンの人は、この内容で面白いと思うのだろうか?普段のYouTubeの配信の方が面白いのではないか?」「YouTubeではなく、プライムビデオで出す意味は?登録者数(利益)よりも、コストの方がかかってない?」
といった感想が次々に浮かんでおりました。
多分、出演者は一切悪くないです。この企画の根本的な方針、プライムビデオで配信しよう・VTuberには一切喋らせずに実況と解説だけ喋らせよう等々を決めた人が一番悪いと思います(要は監督やそもそもの企画の方向性を決めた人が悪い)。
まあ、確かに「YouTubeではないプライムビデオの配信で、麻雀中のVTuberに何を喋らせるか」を考えるのは難しそうですが...
もしも2024年公開の映画の中で一番クソを決めるなら、「ゴールデンラズベリー賞を受賞したから、2024年公開の映画の中で一番クソ」という安直な考えではいけないと思います。
「エスえす的 VTuber脱衣麻雀 inメタバース」のような根本的な方針から間違っている作品や象徴するかの如く突出したクソな部分(ある意味、光り輝いている部分)を持つ映画の中から決めるべきであろうと思います。