
前回、3つのAIモデルに仮想通貨の自動売買バトルをやらせたところ、全員マイナスという残念な結果に終わりました。
physx.hatenablog.com
ちなみに前々回はこちら↓
physx.hatenablog.com
「条件が厳しすぎたのでは?」という反省を活かし、プロンプト改良等ありで行ってみたのですが結果はタイトルの通り、マイナスを増やしただけでした。
トップ画像は、AIで生成した画像に対して「すごい!人間超えた!」とか言っている人たちがXに蔓延っていて面白くなかったので、人力10秒で似た画像を作ってみました。
※本記事は個人による技術的実験の記録であり、特定の暗号資産や取引手法を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。暗号資産の証拠金取引は元本を超える損失が生じるリスクがあります。
前回からの変更点
前回は「全モデル収益マイナス」というつまらない結果に終わったので、今回は条件を大きく緩和しました。
- より高性能なモデルに変更(gpt-4.1とgemini-2.5-proに変更)
- 取引ルールにより厳しい制限を追加
- 他のモデルの戦績を開示して、より競争感UP
- 与える情報量UP
- 状況を見ながら、プロンプトやコードの改善を積極的に実施
結果
最終スコアボード
| 順位 | モデル | 最終資産 | 損益 | 取引回数 | エラー回数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🥇 1位 | Claude (claude-sonnet-4-6) | 27,838円 | -2,162円 | 52回 | 9回 |
| 🥈 2位 | Gemini (gemini-2.5-pro) | 25,844円 | -4,156円 | 123回 | 21回 |
| 🥉 3位 | GPT (gpt-4.1) | 25,436円 | -4,564円 | 64回 | 15回 |
3モデル合計で-10,882円。
ラウンドごとの推移表
| 期間 | 主な動き | Gemini末資産 | GPT末資産 | Claude末資産 |
|---|---|---|---|---|
| 前半1 R1-12 | Gemini APIエラー多発・3者実質HOLD | 30,000 | 30,000 | 29,358 |
| 後半1 R13-24 | 散発的エントリー開始も全員損失圏 | 29,959 | 29,446 | 29,197 |
| 前半2 R25-36 | GPTがXLM複数買い。全員低空飛行継続 | 29,959 | 29,332 | 29,121 |
| 後半2 R37-48 | GPTがXLM消化し11取引達成。損失じわじわ拡大 | 29,823 | 29,347 | 29,032 |
| 前半3 R49-60 | 3者とも条件未達HOLDの連続 | 29,815 | 29,347 | 29,034 |
| 後半3 R61-72 | GeminiがMin10達成。GPT・Claude -1,000円台突入 | 29,560 | 28,986 | 28,836 |
| 前半4 R73-84 | 全員RSI過買い圏でエントリー阻まれ損失拡大 | 29,445 | 28,986 | 28,682 |
| 後半4 R85-96 | 全員含み損抱えたまま停滞。損失固定化 | 29,347 | 28,655 | 28,423 |
| 前半5 R97-108 | GeminiはLTC、GPTはXLM。どちらも失敗 | 29,276 | 28,545 | 28,324 |
| 後半5 R109-120 | GPT最下位転落。ClaudeがGemini・GPT逆転し2位浮上 | 28,768 | 28,118 | 28,420 |
| 前半6 R121-132 | Claude 2位浮上。GPTはLTC・XLMの連続損失で底値 | 28,061 | 27,762 | 28,281 |
| 後半6 R133-144 | GeminiがXTZ・LTC多数保有で出血。GPT -3,000円台 | 27,724 | 26,987 | 27,907 |
| 前半7 R145-156 | Gemini・GPTがXLM追い込み買い。Claude守備固め | 27,066 | 25,953 | 27,838 |
| 後半7 R157-168 | Gemini・GPTの追い込み裏目。Claude 2位防衛成功 | 25,844 | 25,436 | 27,838 |
1週間の流れ
序盤(R1〜48):全員おとなしい
GeminiはAPIエラーが多発して実質的に機能停止。Claudeは早々にXRP/XLMで含み損を抱えて最下位に沈み、GPTはXLMの小口買いを繰り返すも損失がじわじわ拡大。3者とも低空飛行が続きました。
中盤(R49〜120):損失が加速
RSI(相対力指数)が過買い圏に入り、エントリー条件を満たせないラウンドが続出。GPTはBCH・XLM・LTCに手を出しては損失を重ね、Geminiも取引回数だけは伸びるものの成績は振るわず。一方Claudeは「動かない」戦略が功を奏し、R120前後で逆転して2位に浮上しました。
終盤(R121〜168):追い込みが全部裏目
GeminiとGPTが挽回を狙ってXLMやLTCに追い込み買いをかけますが、ことごとく裏目に。Claudeは「守備固め」を宣言してポジションを取らず、2位を防衛して終了。
今回も「最も動かなかった者が、最も損失を抑えた」で終わりました。
わかったこと
取引すればするほど負ける
取引回数と損失額がほぼ比例しています。
- Claude:52回 → -2,162円
- GPT:64回 → -4,564円
- Gemini:123回 → -4,156円
手数料とスプレッドが積み重なる構造上、「判断の精度が高くないなら、動かない方がマシ」という当たり前の結論に至りました。
AIに「利益を出したい」という意志がない
コストや競争意識を意識するようプロンプトに組み込んだものの、「自分が損している」という現状を全く気にせず、機械的にエントリー条件だけを見て取引していました。
変なところで柔軟性を発揮する(予算がないのに買おうとする・勝手に損切りをする)ことは多々あれど、良い感じに利益を出したり、売り買いのタイミングを見極める等は皆無でした。
どうせ損するなら、もっと大規模にやってくれればいいのに、そういった意味でも面白みのない結果でしたね。
相場が下がればそのまま沈む
前回は上昇局面で1,000円程度の利益を出せる場面もありましたが、下落局面ではそのまま引きずられるだけ。なんで常に買おうとするんだいAI君…
API料金を含めるとさらに悲惨
取引の損益だけでも全員マイナスですが、API料金を含めると目も当てられません。今回1週間でかかったAPI料金は以下の通り。
| モデル | API料金 |
|---|---|
| Claude | 2,206円($13.96) |
| Gemini | 1,530円($9.68) |
| GPT | 890円($5.63) |
| 合計 | 4,626円($29.27) |
取引損失-10,882円にAPI料金を合わせると、1週間のトータル損失は約-15,500円。前回と合算すると2万円超えです。
取引成績で1位のClaudeが、API料金では最も高額でした。コスト効率だけで見ればGPTが最も安いですが、成績最下位なので意味がありません。Geminiはコスト中間で成績も中間、ただしエラー率21回/123取引という信頼性の低さが致命的です。
AI君の難点
自動取引に限った話ではないのですが、AI君には困った癖があります。
- 指示を聞かない:明確にルールを書いても、数ラウンドで忘れる
- mdファイルを読んでくれない:設定ファイルとして渡しても無視されることが多い
- メモリさせても意味がない:コンテキストに入れても、なぜか反映されない
特に今回ひどかったのが、予算額を無視して注文しようとするエラーの多発。コード側でブロックしていたので大事には至りませんでしたが、レバレッジや予算の制限をかけずに放置していたら、もっと損していた可能性があります。
まとめ
2週間で計2万円を溶かして得た結論は、ある意味想定通りのもの。
「適当にAIに仮想通貨の短期売買をさせても、儲からない」
でした。
- 現時点のAIモデルに、仮想通貨の短期売買で安定して利益を出す能力はない
- 取引回数が多いほど手数料がかさむ
- 相場依存が大きく、AI独自の優位性は感じられない
- API料金まで含めると、さらに厳しい
世の中には「AIの自動取引で月○万円!」と謳っているツールやサービスが溢れていますが、今回の実験を通じて思ったのは、相当な工夫がなければ利益は出ないということです。
もっというと、「単純なルールベースの取引ならBOTで十分であり、変な解釈やエラーを起こしてコストもかかるAIは不要」という結論です。
ちなみに、今回の実験に当たって色々な自動売買ソフトを調べてみたのですが、どれもこれも数万から数十万円で売られているものばかりでした。
10年で資産10倍を謳っているソフトもあって、どうテストしているのかが気になるところではあります。
絶対、極端な下落相場・上昇相場で試した仮想の利益を掲載しているだけだろ
余談:楽天WalletのAPI、本当に動いてる?
実験中、APIを使ったコードがうまく動かず楽天に問い合わせたところ、回答は以下の通り。
・現在 /api/v1/ のプライベートエンドポイントは正常に稼働しています。
・GPT-Trade等、他ユーザー様のトレードで問題が発生している状況はありません。
「GPT-Tradeで動いているなら試してみようか」とも思ったのですが、証券口座を開くわけでもないのに住所を聞いてくる時点で怪しかったので断念。
今回のコードは全部Claudeに実装させてみたんですが、やはり作りが甘かったのかもしれません。
自分で詳細に分析すればわかるかもしれませんが、前提知識がなさすぎて時間がかかりそうです。
楽天WalletのPrivate APIを実際に使って取引までできた方がいたら、ぜひ情報をお寄せください。
ネット上に「実際に使ってみた」という事例がほとんど見つからず、楽天側の回答が正しいのかも確認できない状態です。
次回予告
次回は「プラスを出すまで終われない」方式で、1ヶ月ほどトライして記事にする予定です。
プラスにならなくても1ヶ月時点で記事にはします。
性能が振るわないGPTとエラーだらけで使い物にならないGeminiはそろそろ外そうかな……



